八尺只烏

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ワタリガラスは仲間へ感情を伝染させる能力

鳥類史上初!

ワタリガラスは仲間へ感情を伝染させる能力があると判明
2019/05/22 12:00ナゾロジー

 

■「ワタリガラス」にも人間と同じように「感情伝染」の能力があることが判明
■「感情伝染」は、コミュニケーションや社会的関係を円滑にするために必要不可欠な能力である
■実験でワタリガラスは相手のネガティブなリアクションを見ることで、同じ悲観的反応を示した

 

共感能力や感情伝染は、社会的なコミュニケーションを円滑にするために必須の能力だ。

人間はもちろん、猿など哺乳類にもこの能力があることが知られている。
ところがウィーン大学チューリッヒ大学の研究によると、「ワタリガラス」にも同じ感情伝染の能力があることが発見された。
鳥類において感情伝染の能力が見受けられたのは今回が初めてだという。

これによって生物における共感能力の進化・発達史に新たな展望が期待されている。
研究の詳細は、5月20日付けで「PNAS」上に掲載された。

 

生物の中でもトップクラスの賢さ!
ワタリガラス(英名:common raven)」は、生物の中でもトップクラスの賢さを誇ることで知られている。
例えば先のことを予測して行動できる能力や、記憶を元手に便利な道具を作る能力、さらには釣り糸を氷の穴から垂らして魚を釣り上げることもできる。
余談だが、ハリーポッターの「レイヴンクロー寮」はワタリガラスに由来している。だからワタリガラス並みに賢い生徒しか入れないのだ。

 

こうした賢さから、研究チームは「ワタリガラスにも感情伝染の能力があるのではないか」と推測した。
感情伝染は他人の表情を無意識的に読み取り模倣するが、これは人間関係の絆を深め、「あなたの気持ちを共有していますよ」というサインとして重要な役割を果たしているのだ。
とくに社会的な動物であればあるほど、感情伝染は必要不可欠な能力となる。

 

ネガティブ感情は伝染しやすい
研究チームはワタリガラスの感情伝染能力を調べるため、「ネガティブ感情」の発露を用いた一連の実験を行なった。

これはポジティブ感情よりも観察がしやすく明白な証拠となることが理由だ。
初めに8羽のワタリガラスから4組のペアを作り、各々のペアに2つのボックスを用意してどちらか一方を選んでもらった。

ボックスの片方には大好物のチーズが入っており、もう片方には何も入っていない。
この共同作業を通して、まずはペアで同じ食べ物を与えられるということをカラスに確認させた。

 

これを数回行なった後、ペアを金網で仕切ってカラスを「実演者」と「観察者」に切り離した。
まず実演者となるカラスには「ドッグフード(好物)」か「ニンジン(苦手)」が入ったボックスを与える。

このときカラスに与えられるボックスは感情を操作するために、実験者がどちらか一方を選ぶ。
一方、観察者となるカラスは相方がどう振る舞うのかを見ることしかできないが、どちらの食べ物が与えられたかを確認することはできない。

つまり相方のリアクション勝負だ。
そして実演者の反応を見た後で、観察者のカラスにもボックスが与えられる。

 

すると実演者がネガティブな振る舞いを見せると、それを見ていたカラスはボックスをすぐ開けず、長い時間をかけて調べ始めたのだ。
数回の実験の後、これは悪いムードが伝染したときに見せる振る舞いであると判明した。

反対に実演者がポジティブな反応をしたときは、観察者側もすぐににボックスを開けていたのだ。

賢さゆえにボックスの中身を見ずとも、相手がヘコんでいたら自分もヘコんでしまうようだ。

人間も賢い人のほうがうつ病になりやすいというデータもあるし、知性と感情の伝染には関連性があるのだろう。